こんにちは。新潟市西区の心理学を活用した学びをテーマにしているフリースクール・通信制高校サポート校のにいがたさくらです。
学校にいきづらさを感じている人には、様々な理由があります。人間関係の悩みだったり、ASD、ADHD(「ADHD」でお悩みの方へ (niigata-sakura.com)、LD、過敏性腸症候群、セクシャルマイノリティなど様々な要因があります。そんな中でも、今回はHSPについて考えたいと思います。
まず、HSPとはHighly Sensitive Person(ハイリー・センシティブ・パーソン)の略で、人一倍繊細な気質をもって生まれた人という意味です。子どもの場合は、HSCと呼ばれたりもしています。こうした気質を持つ人は学校や家庭など生活の中で気疲れしやすく、生きづらいと感じているタイプの方が多いのです。人口の約20%の割合、つまり5人に1人はHSPだといわれています。
HSPの方は、周囲の状況にとても敏感です。HSPには「DOES(ダズ)」と名付けた4つの特性があるといいます。
【Depth of processing】考え方が複雑で、深く考えてから行動する
一を聞いて、十のことを想像し、考えられる能力がある
調べ物をはじめると深く掘り下げ、その知識の広さを周りに驚かれる
お世辞や嘘をすぐに見抜いてしまう
物事を始めるまでにあれこれ考え、時間がかかる
生き方や哲学的なことに興味があり、浅い人間や話が嫌い
【Overstimulation】刺激に敏感で疲れやすい
人混みや大きな音、騒音が苦手
友達との時間は楽しいものの、気疲れしやすく、帰宅すると、どっと疲労している
人の些細な言葉に傷つき、いつまでも忘れられない
些細なことに過剰なほどビックリしてしまう
【Empathy and emotional responsiveness】人の気持ちに振り回されやすく、共感しやすい
人が怒られていると自分のことのように感じ、傷ついたり、お腹が痛くなったりする
悲しい映画や本などの登場人物に感情移入し、号泣する
人のちょっとした仕草、目線、声音などに敏感で、機嫌や思っていることがわかる
言葉を話せない幼児や動物の気持ちも察することができる
【Sensitivity to subtleties】あらゆる感覚がするどい
周囲の音が常に気になってしまう(聴覚過敏)
強い光や日光のまぶしさなどが苦手(視覚過敏)
近くにいる人の臭いやタバコの臭いに耐えられない(嗅覚過敏)
カフェインや添加物に敏感に反応してしまう(聴覚過敏)
服の繊維やタグなどが我慢できないほど気になる(触覚過敏)
第六感や直感がはたらき、よく当たる
この他、絶対的に一人の時間が必要な人、緊張しやすい人、子供のころ親や先生に「繊細」「人見知り」と評価されやすかった人もHSPの可能性が高いといえるでしょう。
また、自分の出来・不出来にも敏感です。そのため、「ちゃんとやりたい」という気持ちが強く、ちゃんとできないとダメだと自分にプレッシャーをかけてしまいます。特に学校では、「自分にかけるプレッシャー」+「先生からの期待」+「親の期待」という三重のプレッシャーがかかってしまうのです。すると、学校は「常に強いプレッシャーと戦う場所」になってしまうのです。
一番重要なのが、集団生活に馴染めるかどうかです。HSPのように敏感で繊細な気質をもつ子どもにとっては、学校は多くの生徒同士の声という刺激が否応なく受け取ってしまうために、ストレスを感じやすい場所です。また、声だけでなく、子ども同士のよる冗談やからかい、陰口など他人の喜怒哀楽を間近に感じやすいため、それを自分ごとのように捉え、傷つきやすくなってしまいます。座るものや身につけるもの、授業で使うものを自分の自由に選べず、不快を感じてもそのまま耐えなければならないのです。学校ではの当たり前のルールが、HSPの子どもにとっては大きな負担になってしまうのです。また、負担であると感じることがあっても、そのことをうまく言葉にして、友達や先生、親に説明することが難しく、なかなか理解がされません。
にいがたさくらのようなフリースクールでは、個々に合わせた学びの仕方を考えます。まず、聴覚過敏のような生徒は耳栓やイヤホンをしてもらい、視覚的にも仕切りのある学習スペースで学習を進めてもらいます。個別指導なので、周りの人と比べたり、点数を競ったりすることもありません。
また、一人ひとりに合わせた声がけや相談もできるので、嘘のない形で相手と向き合うことができます。学校ではHSPの理解もなかなか広まっておらず、わがままとして捉えられてしまうことも多々あります。
しかし、HSPには深く考える力や他人よりも細かいところまで注意を配れる、相手の気持ちに寄り添って物事を考えられるなどの長所もあります。失敗体験や自分を責めるよりも、自分の特性を生かす方法をHSPの子どもたちは学んでいかなければなりません。
今の学校を続けることがつらいのであれば、自分が学びやすい環境で学習を続けるという選択肢を気軽に持てるようになっていくとよいですね。
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